「失敗から学んで、チャレンジしつづける」Challenge and failure! ボタニカルデザイナー・RE CEO江原理恵のルール

My Rules #03

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仕事をテーマにしたプレゼンイベントGIRL’S MeeTALKから2015年夏に開催された回から個別のレポートです。「スタートアップで働く女性に聞く、自分の軸をつくっているルール」をお題に江原理恵さんのマイルールとそのルールが生まれた背景をご紹介します。

* * *

司会山中
「今日最後のプレゼンターは江原理恵さんです。最初に、私から少しご紹介させてもらいます。江原さんは、色々なメディアでパラレル・アントレプレナーという言葉で紹介されているんですよね。パラレルとは並行、アントレプレナーは起業家という意味ですけどもその言葉通り、お花のデザインからオフィスのデザイン、記者、国内外のスタートアップのコミュニティーづくりや事業開発など異なる職種を同時にこなしていて、一体どうやっているの!?と、実は出会ってからずっと仕事的にも人間としても興味津々でした。
そういったキャリアの背景や、2度にわたるクラウドファンディングでの渡米など、今日は江原さんの仕事と活躍のベースにある考え方の軸についてお話してもらいたいです。ではよろしくお願いします!」

江原さん
「こんにちは、江原です。なんか今いい感じに紹介していただいたんですけども(笑)。今日はみなさん気をぬいて、『こんな生き方している人もいるんだなぁ』という感じで、好きなことを探究し長く続けていくということを考えるきっかけになればいいなと思って来ました。」

ある日、投資側からものをつくる側に

イベントを開催したこの月、江原さんは起業してちょうど10年目を迎えた。いつもクリエイティブな仕事をしているイメージからは少し意外なことに、キャリアのスタートは金融業界だった。証券会社に就職し、その後もベンチャーキャピタルなどで投資の仕事をしたりとずっとお金に関わる仕事をしていた中で考えることがあったという。

「ちょうど自分が入社した年にアメリカで起きた911の事件などの転機があって、自分でものをつくっていく、ということにすごくこだわっていくようになりました」。それから数年後の夏、起業することに。様々な企業を分析して大金を動かす投資側にいた江原さんは一転して、まさに現場でつくる人になった。

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10年間の起業人生は、ボタニカルデザイナーとしてスタート

江原さん
「今は自分のことを主にボタニカルデザイナーとかコミュニティーデザイナーと紹介しています。このボタニカルというワードは爽健美茶のおかげでメジャーになりましたが、草花といういみでして、新しい草花との付き合い方というのをテーマにしたものづくりをしています。10年前の起業時の最初は、祝い花の通販サービスを始めました。また、草花とは別にもう一つ「身体の拡張」をテーマとして、様々なプロジェクトに参加しています。後でまたお話ししますが、色々なことを同時にやっている人間です。

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伊勢丹でオリジナルのプロダクトを展示

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草花のデコレーション

草花 × アートで空間に自然をとりいれる

今まで作ってきたひとつのプロダクトの例なんですが、これは伊勢丹で個展をやらせて頂いたときのものです。壁にかけられるアート型の花瓶をつくりまして、木のフレームにシリンダーがしこんであってそこにお花がいれられます。そして次のこちらはエアープランツみたいな植物をひっかけられるような仕掛けになっています。次のこの作品は花の写真作品です。実際の草花そのものでなくても、写真をつかって部屋のなかに草花をかざっていってもらえたらいいなという提案です。こういった、植物をどうやって気軽に居住空間の中にもちこんでもらおうかということを考えたプロダクトになっています。 あと、植物をつかった装飾でダナキャランさんのストアのウィンドウディスプレーをしました。このへんは、割と自分の起業人生では前半のほうにやっていたことです。

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オフィスデザインもコミュニケーションを考える仕事

最近はこういった空間デザインをやっています。左上の写真はSmartNewsさんの前のオフィスを手がけたものですが、奇遇なことにいまは先ほどお話された加藤さんの、Houzz JAPANさんのオフィスになってます。 (会場一同「え〜!」)
こういう形で、今日一緒に登壇したりと縁があって面白いなと思いました。

そして、SmartNewsは新オフィスのほうもデザインを全部担当させてもらいました。この会社のプロダクトであるアプリの、ニュース配信サービスというのを実際のリアルな生活の空間の中で提案したらどうなるのかというのを考えました。たとえば昔は駅の中のキオスクがSmartNewsのアプリのように機能していたんではないかなと思い、実際にリアルなニューススタンドを配置しています。

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スマートニュース社のオフィスの一部

ほかにも、オフィスデザインでは、ニューヨークのスタートアップNOOMの日本支店のオフィスや、TMIXというオリジナルのTシャツを作れる会社のオムニチャネルの一環でショーショールームスペースのデザインをお手伝いしています。ちょうど今月からTMIXでクリエイティブディレクションをさせていただくことになりました。

オフィス以外には、Picseeというコミュニケーション型のアプリの仕事もしています。写真をおくって会話やコミュニケーションするというアプリで、そのコミュニティーをつくる部分のお手伝いをさせていただいたりとか。

あと、これは結構過去になるんですが、IoT系のデバイスで、人が近づくと服の中のホタルが光りはじめる作品を作りました。他にもIoTでは、「リスナー」というものでアマゾンからでた製品の「エコー」にています。音をつかって物を操作したりだとか、音を拾って色々なものを解析して人間を助けてくれるというプロダクトで、コンセプトや立ち上げのところのお手伝いをしていました。

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Top meetalk 1

「失敗から学んで、チャレンジしつづける」Challenge and failure! 江原理恵のルール

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起業してすぐの頃、青山にかまえた花屋の店舗

資金と場所がなくなったら、外に出ればいい

先ほども少しお話したんですが、私は起業してすぐ翌年にお金を借りたり資金調達をして、青山にこういった小さな店舗を作りました。しかし3年半をもたずに閉めることになったんですね。それまでは、店舗も沢山つくって会社も大きくしていこう!と考えていたのですが、蓋をあけたら全然うまくいかなくて。あげく初期に投資したお金は回収できないという事態になってしまって。結局、自分の場所がなくなってしまったのでどうしようかとおもって、そこで、自分が外に出かけていく、そして活動の場所をデジタルに移していけばいいんじゃないかなと考えました。

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自分が楽しんでやっていると、意外と周りが興味をもってくれる

『1.LIVE MAKE のお話』
私は元々のキャリアが金融側だったということもあって、自分で表現するということに自信がありませんでした。でも、たまたま音楽をやっている友達がいて、イベントにいったときに「こういうステージとかを装飾したいな〜」といったら「いいね、それやろうよ!」って言われて〈LIVEで草花をつんできてその場で装飾する〉ということが実現しました。 また、その後もこちらのIIDというものづくり学校のイベントでもライブで装飾をつくっていきました。ブランコと後ろの絵が連動していて、ミュージシャンに詩をかいていただいています。

そういったかんじで、自分にはできないんじゃないかな無理なんじゃないかなとおもったことも「自分が楽しんでやれば、意外と周りが興味をもってくれる」というのが、結構大きな衝撃だったんですね。そこから、割となんでもやってみようという風になりました

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クラウドファンディングでの資金集めは未経験分野のジャーナリズムでサクセス。 NYでのスタートアップの取材を決行

資金もない、ツテもない。 クラウドファンディングで取材費を集めてみたら…

『 2.NYC Startups のお話』
話が少し飛ぶのですが、私はもともと店舗を失敗してデジタルに移行していった人なので、ネットのことをもっと勉強しなきゃいけないと思いアメリカのスタートアップについて調べてみることにしました。そのうちに、ニューヨークに面白いスタートアップシーンがあることがわかりました。しかも東京とニューヨークにたくさん共通点がありました。都市の性格的なものだったり、色々な職業のひとがいることだったり、調べれば調べるほどおもしろい!でも日本語で情報が発信されていないと気づきました。そして自分でそれらをまとめて日本語で公開したところ、記事が2万PVくらいいって「役にたった、知らなかった、初めて知った!」と言われ、多くの人に届きました。

それがきっかけとなって、もっと深くニューヨークのスタートアップについて知りたいと思いました。でも、これは趣味で続けてきたことで、当時は資金もニューヨークになんのツテもない。
どうしようかと色々考えていたときに、ニューヨークのスタートアップの代表格であるKickstarterに興味をもち、このサービスはどういう背景で生まれてきたんだろうと思い、そして自分も実際にクラウドファンディングを使って実際にニューヨークに行ってしまえばいいのではないかと思いました。

クラウドファンディングで資金を集めた結果、2週間で237人の方がご支援くださり金額も沢山集まって、ニューヨークのことをまた知っていただくきっかけを作ることができました。

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foursquare、digg、noom、またアクセラレーターERAのファウンダーなど多くのスタートアップの人とつながる

「NYは、アーティストやクリエイターとビジネスがむすびついている」

こちらの写真は、ニューヨークに行ったときに出会ったスタートアップの人たちです。自分が好きでサービスを使っていて出会ったdiggのCTO、プロジェクトを見つけて連絡をくれてつながったnoomのチーム、まったく違う業界の友人からの紹介で出会ったアクセラレーターERAのファウンダーらです。また、左上はfoursquareのファウンダーで、最も刺激を受けました。ニューヨークのスタートアップシーンがどのようにして発展してきたのか、常識に囚われない数多くの起業家を様々なバックグラウンドを持った投資家が支援し、コミュニティが業界全体を盛り上げていくエコシステムの全容を教えてくれました。NYはアーティストやクリエイターが多いので、そういった人たちとビジネスがむすびついてスタートアップをやっている会社が多いこともわかりました。出会った人たちが私の活動に賛同してくれて、どんどん面白い人とつながっていきました。

その後、再度滞在期間を延ばしてクラウドファンディングで渡米し、取材で話を聞くだけだった活動は、一緒に仕事をしたりするようになるなど、急激に願ってもない方向に変化していきました。

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初回のクラウドファンディングや海外取材で学んだことを生かし、2回目はさらに深く取材・レポートする。ファッションECのスタートアップでインターンをするために3ヶ月と滞在期間も長くした

Love will find a way

「楽しんで!」情熱をそそぐことを突き詰めると仕事につながる

そんなふうに、そもそも好きでやっていたことが後になって何年か後に仕事につながっていく経験を私は何度もしています。そして、昔はボタニカルデザイナーってなんですか?と聞かれていましたが、最近では「ネットでボタニカルデザイナーという言葉を検索していたらたどり着きました」という方からお仕事の相談などをいただくこともありました。人生って本当にわからないなって実感しています。とにかく、好きな色々なことを突き詰めていってください。」

My RULE まとめ

1
失敗しても挑戦し続ける - Challenge and Failure!
2
好きなことを突き詰めて、道を拓く - Love will find a way



* * *

アフタートークとQ&A

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花を「売らない」お花屋さんとは?

司会 山中:
今日はありがとうございました!そもそも、なんで普通のフラワーショップではなく『花を売らないお花屋さん』をはじめたんですか?

江原さん:
最初私は花を作れなかったんです。人をつなぐというのをテーマにしていて、もともと「花を売りたい」というのが出発点ではありませんでした。私はこうやってよく人前でしゃべってますけど、実は人とのコミュニケーションが苦手なんです…。特に、喜びの感情や感謝の感情を人に伝えるのが苦手で、恥ずかしくて。そこで、お花をあげると「ありがとう」という気持ちが伝えられるんじゃないかなと思いました。そういったやりかたで、感謝を表せたり、人との間の豊かさを増やせるのではないかと思って。それはきっと言葉の延長のようなものなのではないかなとずっと思っています。
だから「自分は花屋です」と名乗るのに最初は違和感があって、たまたまそういうワードを見つけたときに、そういうふうに名乗ればいいのかなと思い、花を売らない花屋と自分を紹介することにしました。

司会山中:
そうなんですね。いつも人のうずをつくっているというか、社交的に見えるのでとても意外でした。気持ちは伝わる方法はひとつではないから、自分なりのやり方で伝えればいいんですね。なんだか…じーんときました…。あとキャッチコピーというか、自分で自分を表現することばを見つけられるほど掘り下げて考えるというのは良いですね!表面的な職業名とかに固執しないで。

江原さん:
ことばはよくも悪くも捉えようなのかなと。「私は花屋です」と定義するとそこに内容が集約してしまう。でも自分なりに解釈して、どんどん広げていけばいい。広げ方というのは、人間はいろいろな本能があって、みなさん今もきっと色々なことを感じていると思うんですが、そういうものと自分の興味をつなげていけばいいと思います。 私は結構本能に正直にやっています。みなさんモノが豊かになったら突然自然が恋しくなったりしませんか? デジタルにあふれた時、緑がほしいなとか癒されたいなとか。お花で装飾的なものを作りたいとかが起点ではなくて、植物は「人と空間」とか「人とサービス」などを媒介してくれるものなのではないかなと思ってやっています。

〜会場からの質問〜

質問者1:
自分もやりたいことがあって、これから江原さんのように複数の活動をしよう思っています。でもひとつに絞らず複数のことを同時にやっていくと支障が出るのではと思います。同時にやるコツというかなにかありますか?

江原さん:
これはよく聞かれます。例えば、お店屋さんを1個経営しているとしますよね。そうすると、例えば「運営も採用も経理も…」とやることが色々ありますよね。私にとってはそれのほうが難しいんですよね。
今も色々やっているように見えますが、自分の活動としては「ものをつくっていく」ということ、そして「人とのコミュニケーションを考えていく」という2点にフォーカスしています。そうすると関わるプロダクトが横断していても、常に考えていることは「ものづくり」と「使う方のことを考える」ということです。私としては1つのことをやっているつもりなのですが、はたからみたらいわゆる「パラレル」に見えるのかなと思います。

質問者2:
複数のプロジェクトを並行というのは、実際にどうやってチームを形成しているんですか?いつも同じコアのメンバーがいるんですか?それとも都度違うのでしょうか?

江原さん:
基本的にはプロジェクトごとにチームをつくっていて、高めにコミットするのは執行と資金をマネジメントする人がいるプロジェクトです。私はコンセプトやコミュニケーション、プロダクトディベロップメントにフォーカスします。新しい技術を使った試験的なプロジェクトなどは、私が中心になっていろいろな人と組んでやっています。

質問者2:
そんな風に、進めてくれるひとを見つけるのはすごい能力ですよね、どうやって仲間をみつけるんですか?

江原さん:
周りの人に自分のアイデアを話したり、場合によってはたきつけてやってもらっているのかもしれません(笑)。面白そうなことをやっている人がいたら、「私も手伝いたい、一緒にやろう!」と言って自ら巻き込まれていきます。もし私と一緒にやりたいことがあったらぜひ言ってください(笑)。身近なひとと、できそうなことをどんどんやっていく、というのは程度に関わらずとても良いと思います。

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